「人と鳥の共存をめざして」をテーマに年1回行うジャパンバードフェスティバルでは、出展・参加した団体(NGO、NPO、任意団体、学生グループ、行政など)によりおこなわれた展示、実施プログラムを審査し、優れた内容(展示、解説や体験プログラム、大切な内容を伝えている)を選び、その発展を促進するために表彰しています。
オオバン賞を設けることにより、人と鳥の共存について、社会の関心を高め、各々の活動により多くの参加者が得られるようになることをめざしています。
審査と表彰
・JBFに出展・参加した団体等の、展示内容、実施プログラムの内容をJBF実行委員会が審査します。
・JBF実行委員による投票をおこない、最も評価された団体がオオバン賞、次点がバン賞となります。結果はJBF閉会式で発表、受賞団体を表彰いたします。また、受賞団体は、次回の出展料が無料となります。
訪れたブース内の地面を見ると日本から東アジア周辺の地図の上にクロツラヘラサギの渡りルートが示してありました。見下ろす感じの地図です。これは鳥目線の鳥瞰図(ちょうかんず)だ! 日本で確認されたクロツラヘラサギがどんなルートで越冬地へ渡るか一目瞭然、説得力は抜群でとても印象的でした。
バンディング調査で使用するカラーリングの展示かと思ったら・・・なんとカラーリングを模した会員特典の指輪とのこと。現在生存するクロツラヘラサギの固体番号が印字してあり、クロツラヘラサギと一体感が感じられる魅力的な指輪です。
このような工夫された展示と魅力的なアイテムとともにクロツラヘラサギの保護に理解を深めてもらおうと若いスタッフが来園者に親切丁寧に解説していた様子は、クロツラヘラサギという渡り鳥を介して東アジアの自然と平和を一緒に守っていこうという団体の理念に大きな期待と希望を感じた内容でした。
「藤前干潟のことを一人でも多くの方に知って欲しい」という熱い思いが全面にあふれる若いスタッフたちの熱意がすごい。鳥好きな方は、シギ・チドリをはじめ多様な生物に富んだ藤前干潟という干潟を一度は聞いたことがあるはずですが、藤前干潟をアピールするためいろいろな環境イベントに出展してきましたが、手ごたえのある反応がなかなか得られていないとこと。しかし、ここジャパンバードフェスティバルでは、予定されていた配布資料も初日でなくなり、展示パネルについての質問をはじめ、来場者の知りたいという意識レベルがとっても高く、スタッフたちも説明・解説の対応が楽しくて仕方ない、嬉しい。と興奮気味に語っていました。
この熱い思いが、来場者にきっと伝わったことでしょう。そして、今後の活動の展開を大いに期待させる内容でした。
海鳥の楽園を有する北海道羽幌町には、自然の豊かさのシンボルである海鳥のため、日本で唯一の海鳥の保護・研究を行う「北海道海鳥センター」が設けられており、世界でも有数、国内では最大の海鳥の繁殖地として知られる天売島がある(ケイマフリ、ウミガラスなどが有名)。この恵まれた環境を守るためにこれまでも直接的な保護活動を展開しているが、町の人々にも、いろいろな形で保護活動に参加・協力して欲しいという思いがあった。そこで自然環境に優しい活動の取り組みをしている漁業・農業・林業などの事業者を対象に、シーバードフレンドリーという認証制度を導入した。この認証制度により商品に付加価値を付けることで、一見両立しにくい環境保護と畜産業の両方の活性化を目指そうという取り組みだ。その取り組みの一環として、地元羽幌高等学校では総合学習の時間の中で、海鳥と自然をテーマにこれまでの取り組みを学び、広く発信を続けている。今回、会場には羽幌高等学校の生徒達が来ており、ブース前で活動発表を行っていた。来場者の足を止め、熱く語る生徒達の説明は、活動を紹介するパンフレットやパネルよりも圧倒的に説得力があり、多くの方に広く伝え、心に留めていただく原点のような光景でもあった。これからも活動を続ける北海道羽幌町の将来の後継者に対し、胸に熱いものを感じた。
>> 羽幌シーバードフレンドリー推進協会
山形県酒田市は、絶滅危惧種のイヌワシが生息する鳥海山をはじめ、ハクチョウが飛来する最上川河口や飛島などを有する、鳥と切っても切れない恵まれた地域である。しかし、このような恵まれた環境にありながらも、市民が鳥を見る機会がないことに、保護活動を普及啓発する上での危機感を感じていた。特に最近はショッピングモールのゲームセンターで遊んでいる子どもたちを見て強く感じるようになった。こうした子どもたちに「外に出よう!」と自然の中に連れ出すのは困難。どうしたら子どもと自然との距離を縮められるかを、考えた末に浮かんだアイデアがゲームセンターの要素を取り入れ、自然のものと融合させた「コイン落とし」ならぬ「ドングリ落とし」だった。ブース中央にセットされた「ドングリ落とし」マシーンは、本格的な電気駆動で完成度も高くまさにゲームセンター気分。説明パネルには、「食物連鎖とその量」と題し、森に生きるイヌワシが生きるためには、ノウサギなどが食べるエサが必要。ドングリをたくさん落として、食べ物の豊かな森に変えてあげましょう! とあった。ふと周りを見ると小さな子どもをはじめ、大人たちもが手にしたドングリをマシーンに投入し、あふれ落ちてきたドングリに歓喜している光景が広がっていた。これも自然保護への関心の入口のひとつと思えた。この奇抜なアイデアの根底にある、「わかる人だけでよい」ではなく「わからない人に歩み寄る」ということを我々が忘れてはならない、という思いを強く感じ、今後も多彩な切り口で何かを起こしてくれそうな期待を抱かずにはいられない内容だった。
防鳥ネットによる野鳥への被害をうけて、その危険性のみを伝えるのではなく、ハス田の現状を映像や模型を使用して丁寧に説明し、原因や今後の防止策など鳥と自然にやさしいハス田を提案した。ジャパンバードフェスティバルの趣旨でもある人と鳥との共存について深く考えさせられる内容であり、野鳥たちに代わり共存への道を模索する姿勢が評価された。
市野谷の森のオオタカの繁殖状況を調査しており、ヒナの消失の原因を明らかにするために設置したカメラで、オオタカの親鳥とアオダイショウの死闘や、攻防も空しく巣内でヒナが捕食される光景をとらえた。それは市野谷の森の生態系の頂点に君臨するオオタカがアオダイショウに負けてしまうという他では聞いたことのない衝撃的な事例でもあった。このように貴重で興味深い内容をいち早く、わかりやすく発表したことが評価された。
アビスタ1階フロアに美術館を思わせる様なたくさんの絵画が配置されていました。描かれているのは絶滅の危惧にさらされているコアジサシです。作者によって様々な作風の作品となっており、フロアを通る来館者の足を必ず止めていました。また2階にはフェルトで製作されたコアジサシによって営巣地が再現され、そのかわいらしい姿に釘付けになる来場者も多く見られました。このコアジサシたちは、羽田空港に近い東京都下水道局森ケ崎水再生センターの施設屋上に毎年1,000羽近い営巣(コロニー)が確認されており、NPO法人リトルターン・プロジェクトによって、管理・保護されています。この企画展は、自然を描くアーティストたちが、このコアジサシをモチーフとした作品を通して、リトルターン・プロジェクトの活動に貢献できるのではという思いからはじまりました。NPO法人の協力により、実際にコロニーの取材を行っているため臨場感ある作品に圧倒されます。アーティストとコアジサシを保護する団体との思いが一致したコラボレーションは、とても珍しく今後の期待感が高まる内容でした。
今回、8か国の海外ブースの出展があり、ひときわ南国の雰囲気が漂うブースが印象的でした。『ハワイは、みなさまを歓迎しております。』というおもてなしの精神で出展したとのこと。ハワイでしか観られない固有種の紹介を始め、その中には、絶滅の危機に瀕している種がいる現状を知っていただきたいと熱心に説明していました。
ハワイでも3回目を迎えるバードフェスティバルを開催予定とのこと。『JBFのようなスペクタキュラーな(spectacular壮観な)バードフェスティバルにしたい。そして、ハワイの固有種を始め、様々な自然環境を楽しんでいただきたい。みなさまをお待ちしておりますので、是非お越しください。』と南国の熱い気持ちの伝わるアピールでした。
今回もいくつかの海外ブースの出展がありましたが、そのなかでもひときわ目立つ民族衣装(男性の民族衣装 ゴ)をまとい笑顔で来場者を出迎えてくれたのがブータンブースでした。ブータン王国という国は知っていてもあまりよく知らないのが正直なところ。しかし、ドキドキしながら通訳を通してブータンスタッフのノルブさんのお話を聞くと初対面にも関らず、以前どこかであった感じがするほど何故か親近感が湧き、ブータン王国の自然、鳥、教育環境、いきものに対する精神について語ってくれました。
ブータン憲法で自然資源の維持、生態系を守るため、国土面積の60%を最小限として森林を維持していることや、国内には720種ほどの鳥を観ることができることなど、是非とも鳥を観にブータンに来てくださいとのこと。そして、いきものはすべてあわれみの対象であり、殺傷してはいけないという、深い精神があることに驚きと感慨深いものを感じました。私たちが忘れかけていたものが、このブータンにはあると感じるとともに、来場者の心を確実につかむ対応と内容でした。
コウノトリの野生復帰、そして人と共生していくために、自然の回復・再生に行政をはじめ、研究機関や学校、NPO等が取り組んでいる現状は、大変注目すべきところです。コウノトリってどんな鳥? からはじまり、コウノトリの野生復帰までのこれまでの道のりや今後の課題について、コウノトリを知らない来場者に分かりやすく、熱心に説明しておりました。また、ブース内に設置されたパネルをはじめ、設置されたテレビモニターには、「兵庫県立コウノトリの郷公園」のライブ映像が放映されており、コウノトリの現状を身近に知ることができ、来場者にコウノトリについて、知っていただこうという意欲的な気持ちを感じることができるブースでした。
ジャパンバードフェスティバル15周年企画として海外7ヶ国が出展し、今回のオオバン賞にふさわしい、海外ブースの受賞となりました。モンゴルの珍しい鳥はもちろん、広大なゴビ砂漠の自然環境、鳥の祖先でもある恐竜の化石が大地に露出している環境などを旅行会社Tum-Eco Tourがツアー内容として魅力的な内容で紹介していました。また、モンゴルの異国情緒あふれる雑貨が販売されており、なかでもスタッフの民族衣装? は、とても興味深く強く印象に残る演出でした。モンゴルのすばらしさをたくさんの方に知ってもらおうという熱意は、言葉の壁を越え万国共通の笑顔を通してしっかりと私たちの心に伝わっていました。
ウミガラスをはじめ、ケイマフリ、ウトウなどの海鳥が繁殖し、多くの種類の渡り鳥が観察でき、聖なる鳥の島と言われる「天売島」を紹介する、今回初出展の「天売島ケイマフリぷろじぇくと」は、来場者に配布されていた資料に目を奪われました。手に取ると「天売島 野鳥イベントカレンダー」とあり、天売島のケイマフリをはじめ島内で見られる野鳥、そして自然環境を魅力的な内容で掲載されていました。パンフレットでは、その場限りの資料として、忘れられてしまいます。持ち帰った方に1年間ずっと天売島のケイマフリや自然を伝え続けるためにカレンダー仕様にして3,000部を作成し、すべて配布したとのことでした。今回、初出展であり天売島の素晴らしさをどのようにみなさんに伝えたらよいか、入念な企画で臨んでいたことが感じ取れ、天売島の魅力を配布されたカレンダーとともに日々感じることができることでしょう。
アビスタ1階のフロアの壁面には、整然と大小の絵画が飾られていました。その光景は、一見、美術館を思わせる雰囲気で、自然とフロアを通る人々の足を止めていました。観ている人々は、鳥をモチーフとした作品たちの世界に我を忘れて魅き込まれている様子でした。JBFは、鳥をテーマとした様々な分野での情報を発信していますが、「芸術」という分野で鳥の素晴らしさを伝えているのが日本ワイルドライフアート協会のみなさんの作品であり、JBFでは欠かすことができない芸術的空間を提供しているものだと改めて感じました。
JBF初日の午後は、無念の雨にも関わらず、たくさんの人々が東京諸島観光連盟 小笠原村観光局の展示ブースに立ち寄っていました。限られた空間を有効に利用し、普段私たちがなかなか見ることができない、アホウドリ、メグロ、カツオドリの生態を紹介するパネルや内容はもちろん、画像、デコイなど展示方法の随所に工夫が見受けられました。来場者は時折うなずいたり、驚きや笑顔を見せたりしながら、展示を見ていました。その光景から、JBFに来てくださった方々に“見せたい”“伝えたい”という意気込みが伝わる素晴らしい展示内容だと感じました。
知床羅臼町に一度は来てみて!!
という知床羅臼町の魅力を全力で伝えていた光景は、スタッフや知床羅臼町を愛するサポーターのみなさんの熱意を感じ、ご来場のお客様も充分に魅力が伝わったのではと思います。鳥だけではなく海や山、自然をもっとアピールしたいという熱い思いは今後もJBFに出展するいろいろな団体にも刺激を与え続けることでしょう。
野外で大きな液晶画面いっぱいに我孫子周辺で見られる鳥の紹介を写している光景は、とてもインパクトがありました。映し出された鳥の画像や鳴き声の音声はクオリティも高く、その内容もすばらしい作品でした。映像と音声、庭に来る鳥、工作教室、パネル展示など、盛りだくさんの内容で、運営するみなさんの熱意と意気込み、そして我孫子の鳥を知り尽くしたベテランのチームワークを感じました。
地域の関係団体が協力し、海鳥・海獣調査について研究調査の報告がわかりやすく展示されていました。
団体が連携・協力する姿勢は、各出展団体の良い手本となり、今後の発展が期待できるものと思います。
また、ブースでの対応の良く、熱心に調査・活動内容を語っていた様子は、評価に値し、さらに、授賞式でも代表者の情熱ある叫び!? に会場にいらした方々は心を打たれたと思います。
毎年、遙々台湾から参加していただき、ジャパンバードフェスティバルの会場で台湾の野鳥の魅力を伝えていました。
台湾野鳥保育協会代表の林憲文さんを中心とした活動は、鳥には国境がないことを行動で示し、多くの交流と協力によって鳥や自然を守ることができるという熱いメッセージが込められていました。
※バン賞の台湾野鳥保育協会の皆様はご帰国のため表彰式は欠席なさいました。代理として我孫子野鳥を守る会が表彰状を受け取りました。
はるばる遠方からの出展にもかかわらず、ブースの展示内容に気合いを感じる質と量でした。なによりも、釧路・根室をご来場のみなさんに知っていただくために、超熱心にお客様へ説明する姿は、どこのブースよりもすばらしかったと感じています。
>> 道東くしろ 観光ファンクラブ(釧路観光連盟)オフィシャルサイトへ
>> e-北海道の旅(根室観光連盟)オフィシャルサイトへ
>> 釧路観光協会オフィシャルサイトへ
>> 釧路市観光情報オフィシャルサイトへ
釣り糸の被害を克明に記録しており、その被害をリアルに伝える素材として、被害で死亡したと思われる剥製(釣り糸や針が着いている)は、衝撃的であり、見てゆく方に何かを訴えているようでした。また、ブース前に鎮座しているゴミで作った「海ゴミモンスター」は、どこかおかしく、楽しさを感じる反面、日常生活がもたらす環境負荷をアピール。罪悪感を無意識のうちに感じさせていたのが印象的でした。
牛久自然観察の森で毎月実施している「定例バードウォッチング」の10年間の記録と、野鳥写真の展示、簡単な工作とクイズを実施していました。 特に紙とストローで作る「ぱたぱた鳥づくり」は参加者が楽しめる企画で、‘鳥の足の形’のクイズもベストアイデア賞との高い評価を得ました。
骨格標本や鳥翼標本などを展示していただきました。 骨格標本は、大変インパクトがあり、目を惹きつけるものでした。また鳥翼標本では、フクロウとトビの生態を解りやすく展示しており、多くの人の関心を得るものでした。
利根運河とその周辺に広がる里山での活動を積極的に発信されていました。
特に、野田市三ヶ尾地区のタカの渡りの展示は、永年のカウントデータに基づく、同会の地道な努力の結晶として評価しました。また、サシバの渡りの紙芝居を小冊子にし、渡りの実態を易しく解説したことも好評を得ていました。
野鳥関連のさまざまなアートがある中、切り絵という希少な創作活動をしている野村さん。
毎年JBFにご参加いただき、作品のクオリティも年々あがっています。
今年は、ディフォルメした鳥の切り絵が、特に女性に大人気。アビスタ前で実演も行うなど、JBFを積極的に盛り上げてくださいました。